武術の稽古では相対力学で行います。
相対力学とは、相手を通して自分を知るという稽古システムです。
今回はそんな相対力学について深掘りしていきます。
相対力学とは
この世界は相対的な世界です。
自分という存在は相手の存在が「そう、たらしめる」ものです。
つまりは、相手がいるから自らの存在が確定するということ。
例えば、家庭を持っていれば家族の存在によって自分はパパとして存在しますし、
会社では上司の存在によって部下としての自分が存在します。
相手がある中で自分という存在が確定する。
100人の相手がいたら100通りの自分が存在するということです。
ですから、相手とは自分の写し鏡。
そう考えると、相手を非常にありがたい存在として認識することができます。
相対力学の稽古
武学体術では相対力学の稽古法を採用しています。
これは、自分の正しさを相手を通じて体現する稽古です。
どんなに素晴らしくて正しいと思っていても、相手から「それは違う、こっちの方が正しい」と反論されたらそれは結局間違えていることになります。
だからこそ、自分の正しさを相手と共有して、「うん、それいいね」という調和の世界を創るために相対力学の稽古をします。
相手を正確に認識することで相手の状態を察知して、そのセッティングに自らも合わせていくことで調和の世界を体現することができます。
彼を知り己を知れば百戦危うからず。
孫子の兵法にもこう書かれています。まずは相手を正確に知ること。
それが武学体術の基礎となります。