系の外に出るということ。
それが武学体術の本質であり、知らずに自分で創っている自分の思考枠を外していく作業。
知らぬに誰かにコントロールされている事実に氣付き、コントロール権を取り戻していく作業。
今回は系の外に出る稽古について深堀していきます。
系の外に出るということ
あなたは自分が思っている以上に自分の身体をコントロールできていないかもしれません。
それは対人稽古をするとすぐに露呈します。
相手に両腕を押さえられた状態で、両腕を上に上げることはできますか?
それができるということは、自分が思っている思考枠の外に出られていると言っても良いでしょう。
「相手に手を押さえられていたら、相手の腕を上に上げることは無理だ」
そんな思考枠が生まれてしまいがちなその状況において、そう言った系の外に出ることで初めて、未知の解に辿り着くことができます。
それは人間が創り出した人工物の世界にはなく、自然界の中で調和しているあり方の中にのみ存在する。
そう言った自然の叡智を身体から引き出すことが唯一の答えなのかもしれません。
抽象度を上げるということ
例えば、資本主義という抽象度において、抽象度を上げるということは、誰よりもお金持ちになろうという行為に他なりません。
それは一見すると素晴らしいことのように思えますが、しかし、上には上がいるという事実がありますし、上に行けない人は不幸になるという世界観ならば、この世界は不幸で溢れてしまいます。
そう言った事実を冷静に見た時に、狭い抽象度での上げ下げは不幸を増殖する行為に他ならないことに氣付くでしょう。
しかし、抽象度の外に出たり、入ったりする自由な感覚を持ってすれば、逆にその抽象度の上げ下げが、世界をより面白くするきっかけやヒントになり、さらに世界が面白くなっていきます。
いじめだってそう。
狭い抽象度の外に出られさえすれば、
いかに狭い世界に自分がいたのかということに氣付けるし、自分の未知なる可能性に目が向けられるでしょう。
そう言った可能性の探求がベースになる社会を創造していきたいものです。