武術には五大不確定要素があります。
いわゆる「5つのない」という大前提があるので、よく混同される武道や格闘技とは一線を画します。
5つのないという前提があるため、もし争う選択をすればそれは確実な死を意味するということです。
その結論として、たどり着くのがいかにしたら「負けないか」ということ。
負けないことの本質に迫ります。
五大不確定要素が前提にあるので争えば死を意味する
相手の能力も、武器も、人数も、時間も場所も分からない。
という前提で、相手と争う選択をすればそれは100%死ぬことを意味します。
自分がどれだけ能力を高めて、良い武器を持って、たくさんの人数で戦っても・・・
勝てないということです。
つまりは、この五大不確定要素を前提に考えると、「戦ってはいけない」という結論にたどり着くことになります。そしていかに負けないか、ということを真剣に探求するのが武術の稽古ということになります。
負けないことの本質
武術では相手に勝つということを目指しません。
勝てば「負けてしまった相手からの仕返し」が来るという未来を創造してしまい、さらに不毛な争いを生むことにつながるからです。
ですので、自分も負けないし相手も負けさせない自他不敗という究極の状態を体現することを目指します。
つまり、相手に勝つことより相手に負けないことをいかに体現するかということです。
それは相手にとって「敵」であると認識させないこと、とも言い換えられます。
相手に自分達の味方であると思わせることができたら、それは争いを生まないので、負けないことの体現につながります。
そして、相手にとって有益であり味方であると思わせるためには、人格を向上させ、人望を広げ、人徳を深めること以外にありません。
人間としての存在価値を高めていくことが、武術の究極のゴールだと言えそうです。