武学体術の基本的な稽古方法に「接触回避」というのがあります。
これは相手から入ってきたエネルギーを回避していくという非常にシンプルな稽古法です。
相手から押されたら「押させている」という認識で相手のエネルギーを自分の中に入れずに回避します。
これをどんな状態でもできるようになると・・・面白いことが起こります。
相手のエネルギーを回避する
接触回避の稽古は非常にシンプルで、「推された分だけ動く」という一言に尽きます。
相手が推してきたらその分だけ動く。
ですが、相手がどのように推してくるのかはわかりません。
急に推してくるかもしれませんし、ゆっくり推してくるかもしれません。
その前提から言えば、「思考」で動くことは逆効果になります。
感覚をフルに解放して、相手をより深く、繊細に感じようとする状態でこそ可能になる稽古です。
相手を繊細に感じて、身体に身を任せないと、「推された分だけ正確に動く」ことは不可能です。
逆に、身体に身を任せて身体を信頼すると正確に相手のエネルギーを回避することができます。
どんな状態でも相手のエネルギーを回避して受け流すこと
武学体術では、五高といって、5つの高さでのエネルギーコントロールを稽古します。
まずは、立っている状態、次に中禪といって、歩形をとった状態。
そして膝をつけた状態。そして正座など座った状態。
最後に、臥禪といって寝た状態でのエネルギーコントロールです。
大きくこの5つでのエネルギーコントロールができれば、どの高さで相手からエネルギーが入っても回避することが可能になります。
そしてあらゆる状態で相手のエネルギーを回避することができるようになると、それに比例して「主体性」が高まってきます。
自分の人生は自分が創造しコントロールしているという実感が強まってくるのです。
相手から何をされても自分の在り方次第なのだと、心の奥底から実感できるので、自らのあり方を整えるだけだというシンプルなところに帰結します。
全てがよりシンプルに見え、世界がよりクリーンに見えてくるはずです。
相手を感じて、自らを感じる。稽古の本質ですね。