相手は鏡である。

そんなことを耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

武術では、それを身体を通じて体感していきます。

そうすると、相手に自分が投影されることが分かってきます。

相手よりも弱くなる

もし仮に自分が緊張していて、強張っていたら、それに対して相手も緊張していきます。

例えば、相手を前に押すという動作も、自分が緊張して相手を押そうとしても、相手は「押されまい」と筋肉を緊張させて押されないようにします。

そこを無理やりこじ開けて相手を押すのはパワーの世界。

要するに相手より強くなろうという世界観です。

誰よりもお金をたくさん持って、誰よりも権力を手に入れて、誰よりも強い力を手に入れる・・・

こういったやり方ではなくて、その真逆をやるのが武學です。

誰よりも弱くなる。

弱くなればなるほど、相手を感じることができるようになります。

そして、ゼロに近づいた在り方だと、相手の力みも稼働しづらくなり、「押せる」という現象が目の前に体現されます。

自分の在り方が相手に投影される

相手をコントロールしたい、というエゴが働き、自分の身体の筋肉に電氣信号を送り、収縮させてしまうと、相手の筋肉も同時に緊張してしまいます。

そうなると、相手と同じ力で拮抗し、「相手を押せない」という現象が体現されます。

まさに自分の状態が相手に投影されるので、まずは自分自身をゼロに近づける必要があります。

ゼロであれば、何もありませんから、相手も何も出来ないことになります。

そこにほんの少しだけの意図を乗せる「イノリ(意乗り)」を起こせば、自分の意念で相手を押すことができます。

ですから、自分の在り方が全てであり、いかに筋肉の収縮を行わないか。

エゴで相手を動かそうという思考をゼロに戻せるかが鍵を握ります。