美は細部に宿る。

日本にはそんな言葉がありますが、武術において、エネルギーコントロールが上達すると、自分が末端に宿る様になります。

それはまさに美は細部に宿るかごとく。

指先に自分が宿る

いわゆる禮法の状態をキープする站椿功(禪)では、ちゃんとエネルギーがキープできていれば指先に自分が宿ります。

それは靈體一致の状態であり、自分の肉体目一杯に靈體が宿っている状態です。

その状態で指先に触れると、瞬時にコネクトが起こり、ムスビの状態となり、お互いの境界線が溶けていきます。

それはすなわち「あなたもわたしもわたしです」という状態であり、ワンネスであり太極がそこに実体化します。

武術の套路を練り込む上で、大前提となる状態であるとともに、非常に繊細なエネルギーコントロールを必要とするので難易度が高いです。

しかし、慣れてくるとその状態がデフォルトとなるので、他人の場合は少しでも崩れていると見ててわかったり、自分の場合は少しでも崩れていると違和感が大きくなってきます。

指先に自分を宿すには

対人での検証なしに「おぉ、指先に自分が宿ってる!」って思い込みながら套路をやるのはなかなか危険です。

まずは対人で指先にエネルギーが来ている状態を何度も検証し、体感すること。

そして、その状態を自分に感覚としてインストールしていくことで、指先にエネルギーが宿っている状態を客観的に認識できます。

例えば、指先に自分を宿し、相手の掌に触れれば、相手に自分の意念が通じて、「寝転んだらいいなぁ」という意乗りは即座に実体化することでしょう。

つまり指で触れただけで相手を相手を寝転ばすことが出来る。

それができれば指先までエネルギーが来ていると言えます。

この稽古法は地道に対人で何度もチェックするしかありませんが、まずは禮法の状態を正確に体現できるのが先です。

身体のどこを触れられても瞬時に相手とムスビを起こす。その瞬時の意識の移動ができる様になると、自在に自分を移動することが出来る様になります。

この意識のコントロールこそ、武術の稽古の本質であり、指先に自分を宿すのは武術の基礎的なトレーニングと言えます。