1に胆力、2に功夫・・・
まずは胆力がないと武術の稽古になりません。
ですので、初心者はまずは胆力稽古から始める必要があります。
そして胆力の稽古は排打功でやります。
今回は排打功の重要性について深掘りしていきます。
胆力を身につける排打功
胆力とは痛みや恐怖に対しての耐性とでも言いましょうか、何があっても動じない不動の心。
揺らがない精神力こそ胆力そのものですが、通常の生活をしてて胆力を鍛えるのはなかなか難しいもの。
ですので、武術では物理的な打撃を使って胆力を身につけていきます。
具体的には前腕部分をぶつけ合う「橋の排打功」と脛部分をぶつけ合う「脚の排打功」が基本となります。
武術で一番使う前腕部分、そして脚の脛を強化することで、少々の打撃では乱れない精神力を身につけていきます。
さて、そんな排打功ですが、実は武術の基礎稽古である站椿功(タントウコウ)の一種とも言えるのです。
排打功は站椿功?
站椿功の站という字の意味は中国語で「駅」という意味です。
駅のようにじっと動かずに、大地に根が張ったかのごとく動じない状態を体現する稽古が站椿功です。
排打功はこの站椿功の状態を動きながら応用する稽古とも言えます。
動いているけど、エネルギーは全身にみなぎっていて、もちろん接触している前腕や脛の部分もエネルギーがしっかりと通っている状態。
まさに指先まで自分が宿っている状態という感じです。
その状態で相手との間にエネルギー交流を行いながら、打撃に対してはゼロ化する、意識のコントロールを体現すること。
これがまた難しい。
痛みで自分を見失うと、途端にエネルギーが切れてニュートラルから外れてしまいます。
そうすると稽古どころではなくなりますので、意識を切らさずエネルギーを途切れさせないスキル。それが胆力です。その胆力を養いながら、相手との調和を保つ排打功は高度な站椿功と言えそうです。