武術での攻撃と格闘技の攻撃は動きは似てるけど、実際には全く違ったエネルギーで接することが多くあります。
動きとしては似てるけど、エネルギーが全然違う。
それは目的が違うのでそのような形になります。
今回は武術フックとボクシングのフックの違いからその本質に迫ります。
ボクシングのフックと武術のフックの違い
ボクシングのフックは相手のレバー、もしくは内臓に当てて相手をノックアウトすることを目的として繰り出します。
そのためにフックの形を作り、至近距離で腰の回転を使って打ち込みます。
しかし、武術ではその距離に入れるという前提ならば他にも色々なことができるでしょ、という理屈になりますから、あまりその距離でのその動きは現実的ではなくより良い動きをする可能性が高くなります。
ですので武術ではフックという概念がなく、もしあるとすれば、土系の動きで旋回のエネルギーを持って相手の首筋を狙います。
このフックの目的は、相手の破壊ではなくて「制御(コントロール)」です。
ですので、当たってガードされても、その後にコントロールができればOKなのです。
目的意識が重要
勝敗が重要になる格闘技において、相手を動けなくして「勝つ」ことが重要になります。
そのために全ての技法が組み立っているので、相手の破壊するエネルギーを持って相手に拳をぶつけていきます。
しかし、武術では自他不敗がゴールなので、自分はもちろん負けないけど、相手も負けさせないことが重要になります。
となれば、しっかりと制御してコントロールすることが重要になります。
ですから、相手を破壊することは全くもって方向性が違います。相手を破壊することなく、しっかりとコントロールして自分の志成就のための方向に向き直すことが重要なのです。
目的意識によって世界が変わるということがイメージできますでしょうか?
それが武術の本質的な在り方なのです。