この世界は相対的な世界。

つまり自分の宇宙と相手の宇宙は違う宇宙であり、その宇宙同士の干渉が起こるということです。

これが宇宙の真理であり、その大調和を体現するのが武学です。

そしてそのための方法が対人稽古です。

心理学の限界

宇宙の大調和が1つ生きる目的であるとするなら、そのために心理学は役に立つのか。

心理学で世の中から戦争や貧困、差別がなくなるのか。

恐らくなくならないし、下手をするとひどくなる可能性もあります。

それは歴史が証明してきたことで、宗教学や哲学が戦争をなくしたことはありません。

それは自分の宇宙内だけで調和を完結するために、他人の宇宙との相互関係において調和を体現できていないからです。

もし、心理学を使って相手の宇宙との調和を体現しようとすると、それは議論や言い争いになり、調和は非常に難しいでしょう。

だから武学では心理学を使わずにあるものを使います。

それが「身体」です。

身体の叡智を紐解く、生理学や物理学を使います。

それも相対的な関係においての生理学や物理学を、です。

相対生理学や相対物理学を使う

相対的な関係性における宇宙について。

自分の宇宙と相手の宇宙が干渉するときに、3つ目の宇宙が出来上がるようなイメージを持つとわかりやすいかもしれません。

自分の宇宙が相手の宇宙の影響を受けて形を変えるという感じです。

その全く違った宇宙空間において、相手との間に調和を体現するためには、心理学は非常に無力です。

それはお互い全く違った価値観を持っているからです。

自分は正しいと思っても相手は正しいと思わないかもしれない。

そこで、身体を使うのです。

身体を使うと、生理現象や物理現象という極めて誤差の少ない事象をベースに相手とコミュニケーションが取れます。

相手に手を掴まれて振り解こうとすれば、相手はより強く持ってくるかもしれません。

そう言った物理的な事象を持ってその中で調和を体現することができるなら、それこそ宇宙の大調和の体現となるのです。

武学でやりたいのは、この相対的なエネルギー関係を身体でコントロールするということ。

その延長線上に世界平和の体現があるのかもしれません。