武術の稽古したことがある方であれば、その繊細さを少しは体感しているかもしれません。

しかし、より洗練されてくるとどんどんとその細かさや繊細さは深まってきます。

今回はほんのコンマ数ミリの違いで激変する繊細な世界観を深堀します。

ほんの数ミリで変わる世界

武術はいかに自分の身体を正確にコントロールできているかを問われる稽古です。

それは相対関係によって成り立つので、相手よりも自分の方が雑だと相手にコントロールされる世界になります。

逆に、こちらの方が相手より繊細であれば、こちらが相手をコントロールすることになります。

相対関係なのでどうしてもそのようになります。

それは、まさにコンマ数ミリの世界で、特に詠春拳の稽古が分かりやすいのですが、構造をつくって相手と接触した瞬間に、相手の方が功夫量が多ければ相手が主体をとり、コンマ数ミリ手を動かされてしまいます。

そのコンマ数ミリずらされたことで、自分の世界は主体から依存へと切り替わってしまいます。

そのコンマ数ミリのズレに氣付苦ことができるのかどうか、というのが非常に重要な課題になります。

相手より弱くなる

武術の稽古は相手より弱くなる稽古です。

一般的な格闘技のように相手より強くなろうとするのとは逆の世界観です。

小さなおじいさんが大柄な筋肉質の男性を投げ飛ばしている映像をご覧になった方もいるのではないでしょうか。

方向性としては、そっちです。

力ではなくて、フォース。

フォースを覚醒することで、全身のDNAにスイッチを入れます。

そして、相手を感じ取るために、どんどん弱くなっていくこと。相手が0.1ならその0.1を感じるためには0.01になる必要があります。

相手が、0.00000001なら自分は、0.000000001になることです。

相手より弱くなることで、相手を知ることができます。

その繊細なゼロセンスの世界観を磨いていくことで、いつの間にか全てをコントロールできるあり方を体現できるかもしれません。